余 yoteki 滴(4月5日)

復活節黙想
「思い出しました」
(マタイによる福音書 27 章 63 節)

私たちは驚く。

十字架の出来事があって、最初にキリストの言 ( ことば ) を思い出し、その言 ( ことば ) に従って行動するのは、敵対してきた者たちだから。
彼らはピラトに言う。「人を惑わすあの者がまだ生きていたとき、『自分は三日後に復活する』と言っていたのを思い出しました」(マタイ27章63節)。キリストの言 ( ことば ) を、もっともよく思いめぐらし、吟味し、的確に意味を把握しているのは、「祭司長たちとファリサイ派」の人々(62節)。

主の十字架という出来事は、人の思いを越えた結果を生じさせる。
十字架のもとで、「本当にこの人は神の子だった」と、最初に、宣言するのはローマ兵(異邦人)の百人隊長(ルカによる福音書23章44節)。そして、キリストを十字架につけた者たちが、「思い出しました」と語る。キリストの言 ( ことば ) は、真理の言葉であるが故に、反対する者、批判をする者をも、信じる者と等しく動かす。
そのことに私たちは、はっきりと驚かなければならない。

私たちは、不信仰に傾く僅かな信仰の者で、無関心な者、冷笑する者よりも遥かに遅く、御言葉を思い起こす者。しかし、主を信じ、御言葉を思い起こし、御言葉を生きる者とされて、この年度の歩みを、十字架の主のもとにあって、始めて行きたい。
(2013/3/31週報改)