余yoteki滴 2017年4月16日
「たまご」
ご隠居さん、イースターおめでとうございます。で、えへへ。
「なんだ、変な笑い方だな、その差し出された手は、何を要求しているのかな?」
いえね、イースターだから、「ご復活玉」をいただこうと思って。
「『ご復活玉』だって? 聞いたことがないな? なんだねそれは?」
お正月には、お年玉。それで、イースターには「ご復活玉」がいただけると。
「ははぁ、どうもすごいこじつけだな。ご復活祭の玉子のことだろう? 確かに、ご復活祭を、玉子をもって祝う習慣があるな。玉子やうさぎがご復活祭の、いわば目印だな。でも、『ご復活祭の玉子』を『ご復活玉』だなんて縮めて云うのは聞いたことがない」
いえ、こども衆は「玉子」でいいんですけどね、あっしらは、のし袋に入った「ご復活玉」。
「なんだいそれは。手を出しても、教会でいただいて来た玉子だけだ、あげられるのは」
なんだつまらない。
「つまらない、とは何だ。ご復活祭の玉子だぞ。ありがたくいただくと寿命がたんと伸びる」
本当ですか? 寿命が伸びるというのであれば、玉子の10(とう)や20(にじゅう)は、…
「おいおい、そんな無理して食べちゃいけない。ほら、そんなにほおばるから。苦しかないか? 寿命が伸びるなんて、戯れ言だよ。信じちゃぁいけない。おや、大変だ。ばあさんや、水をもって来ておくれ。水! あれ? 水って、おまえさん、馬に飲ませるんじゃないんだよ、バケツで水を持って来てどうするんだね? 何、頭からかぶせる? って乱暴な。ほら、目を白黒させてるじゃないか。飲ませる水を持って来てあげなさいって。何? お前さんも苦しいのに何かしゃべろうとしない。えっ? 何んだって? ご復活祭の玉子で苦しい? 判ってますよ。ああ、やっと喉を通った。ああ、びっくりした。大丈夫かね」
大丈夫だと思いますがね、いやあ、ご復活祭の玉子でイエスさまの十字架上の苦しみが少し判ったような気がしました。まさにこの苦しみが、“鶏卵のキリスト”なのですね。
「お前さん、それはまさか“荊冠のキリスト”のもじりかね?」
はは、ちっと苦しい。
– お後がよろしいようで –