余yoteki滴

喜ぶ人と共に喜び、泣く人と共に泣きなさい。

(ローマの信徒への手紙 12 : 15 )

 

ローマの信徒への手紙は、パウロがまだ会ったことのないローマにいるキリスト者たちに宛てて記した手紙です。

受け取り手は、ローマにいるキリスト者たちですが、彼らが「ローマ人」であるとは限らないわけです。むしろ、ローマの教会は、いろいろな国や地域の人たちが集う、文化も、言語も、肌の色も、多様な、さまざまな人たちの集まりだったのではないかと思われます。

そういう人たちに向かって、パウロは、この言葉を書く前に「愛には偽りがあってはなりません」とまず語ります(12章9節)。

 

あえてパウロがそう記す、ということは、「愛」には偽りがあるのだということです。

文化や育ってきた環境が違えば、「愛」についての、概念にも、理解にも、違いがある、ということなのでしょう。そして、私たちが「愛」だと思うものは、しばしば私の利己心の投影でしかない、ということがある、ということです。

ですから、「愛する」、ということは実は難しいことなのでしょう。

 

パウロは、キリスト者として、そういう難しい「愛」を生きるために、「たゆまず祈りなさい」と奨めています。

「愛を生きる」とは、たゆまず祈ることの内でしか実現できない、とパウロは実感していたのでしょう。ですから、私たちは、どれだけ他者のために祈っているだろうかと、ふと、振り返ってみる必要があるのでしょう。

ところで、喜ぶ人と共に喜ぶことと、泣く人と共に泣くことと、どっちがより難しいことなのでしょうか。私たちは、そのこともこの2月に、深く考えてみたい、と思うのです。

(2月の「園だより」から)

(2019/03/03週報掲載)

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