【余 yoteki 滴】
「旅を急いだ」( 使徒言行録 20 : 16 )
パウロは、
「五旬祭にはエルサレムに着いていたかったので、旅を急い」でいた(使徒20 : 16)。
彼は、
「エフェソには寄らない」、と決める。
「アジア州で時を費やさないように」、と決める。
パウロは、
ルートを検討し、最短の旅程を、最善の航路を選ぶ。
でも、
パウロの「旅」は、
ミレトスの港で足止めとなる。
舟は、彼の思う通りには出航しない。
彼は、
ずっと決めていた。
五旬祭にはエルサレムで神殿に行きたい、と。
あの祭りの時に神殿で祈りたい、と。
でも、
舟はまだ出ない。
急いている気持ちを、
パウロが鎮めて、
沈黙して、
為すべきことを神に尋ねない限り、
パウロの「旅」は進まない。
パウロは、
鎮まって神の前に祈る自分を取り戻す。
否、
主によって、取り戻させていただく。
パウロは坐す。
神が決めたもう「旅」の時が、
人が思い定めた時刻表に先立つ、ということを
思惟するために、
ミレトスで。